2025/05/05 15:35
花が旅する。想いも旅する「Flower Journey(フラワージャーニー)」
2025年4月17~19日の3日間、東京ビッグサイトで「第49回 日本ホビーショー」開催されました。
日本ホビーショーとは、ハンドメイドやクラフトのクリエイターや素材メーカが集結し、展示・販売・ワークショップが開かれる祭典です。
今回のショーでは行き場を失ったお花たち、いわゆるフラワーロスのお花たちを主役にしたワークショップが行われました。
その名も「Flower Journey(フラワージャーニー)」-旅するお花たち。
全国各地から、さまざまな背景を持ったお花たちが集合しました。
そのなかの、「フラワーロス パッキング」のワークショップに、私たちスマイルフラワープロジェクトからお花を提供させていただきました。
「フラワージャーニー」全国から集まった“旅する花たち”
今回のワークショップに使われたのは、全国各地から集まってきたお花たち。まさに「旅をしてきた花たち」。
それぞれがさまざまな背景を持ち、それぞれが“捨てられるかもしれなかった命”です。
富山県:チューリップ
球根出荷用のお花のため、花の部分はカットされるもの。せっかくきれいに咲いたお花ですが、通常お店には並びません。
和歌山県:スターチス
サイズや色味などが規格外とされ、市場流通にはのらなかったもの。ミニサイズのドライフラワーにするととってもキュートです。
淡路島:カーネーション
母の日を前にして、気候の影響で開花のタイミングがずれてしまったもの。イベント用に栽培されたお花はさまざまな要因で供給過多になり、在庫になってしまうことがあります。
愛知県:ショートローズ
一般的なバラより茎が短いため市場に出荷できないお花。短いブーケに仕立てると抜群に可愛いです!
静岡県:ガーベラ
生産量が多い分、需要と供給のバランスが崩れやすい花。可愛く咲いているのに、余ってしまうことも。
旅をしてきてくれた、フラワーロスのお花たち
「規格外」「余剰」「未出荷」など、見た目や流通の都合によって廃棄されるはずだった花たち。
出荷量の調整はとても難しく、特にここ数年は、気候変動の影響で、開花のタイミングがずれてしまい、イベント前に咲いてしまったり、イベント後に咲いてしまったり…。
その花たちが、日本各地から東京へと旅をしてきてくれました。
そして、手にとってくれた人の心に「可愛い」「きれい」「健気」「ユニーク」など、何かしらの感情を刻んでくれたはず。
お花たちは規格から外れていても、市場の流通に乗らなくても “人の心に触れる”ものは同じです。
それぞれの花に込められた背景を紹介しながら、来場者の方々にはご自身の手でお花を選び、エアフルールでのラッピングに参加していただきました。
エアフルールで、ふんわり包むお花たち
今回のラッピングには、株式会社シモジマさまよりご提供の「エアフルール」を使用。
「空気のようにふんわりと、お花を包み込む」──そんなコンセプトのラッピングスタイル。
透明なラッピング素材のなかにお花が浮かび上がります。
エアフルールを使用すると、切り花のラッピングが初めての方でも簡単に可愛くラッピングができます。
素材は軽くて扱いやすいし、針金なども必要ありません。逆止弁から空気を入れて、膨らませます。
お花は空気で保護されるので、そのままバッグなどに入れて運んでももお花が潰れない優れものです!
そして、密封状態のなか、お花自信の水分で保水されるので、そのまま数日~数週間も楽しめます!(種類や気温によります)
参加者自身がお花を選び、ラッピングし、そのままお家に持ち帰る…まさに「旅する花束体験」。
はじめてのフラワーラッピングをされた方も「思ったより簡単」「おしゃれになった!」とのお声。
“このお花、母にプレゼントします!”と話してくれた方や、“自分へのご褒美にします”とおっしゃった方、いろいろです。
そして何より価値のあるのがラッピングそのものの“お花体験”です。花と向き合う時間をご提供できたことが何よりも嬉しいです。
フラワーロスという言葉
今回のワークショップで、初めてこの言葉を耳にした方も多くいらっしゃいました。
「きれいなお花が捨てられるんですか?」
「もったいないですね」
「規格ってそんなに厳しいんですか」
少し驚かれましたが、花卉業界の社会問題を知っていただけたかなと思います。
花屋に並ぶお花たちは、花農家さんたちの手によって丁寧に育てられた命です。
本来、捨てられるべき理由はどこにもありません。
むしろ、それぞれの個性や “ちょっとした違い” があるからこそ、面白いし、愛おしい。
「かわいい」から始まる、未来づくり
フラワーロスという言葉には、少し重たい響きがあります。
けれど今回の「フラワージャーニー」では、課題を“重く語る”のではなく、“やさしく伝える”ことを意識しました。
・お花に触れること
・自分の手で包むこと
・誰かに想いを届けること
こういった経験を通じて「かわいい」「うれしい」「ありがとう」を感じてもらえることが、お花の未来につながるのではと私たちは思っております。
また、ホビーショーという“ものづくりの祭典”で開催されたことも大きな意味がありました。
来場者の多くが、自ら手を動かすこと、つくること、贈ることの価値をよく知っている方々ばかり。
だからこそ、花を“素材”ではなく、“物語の主人公”として受け入れてくださったのだと思います。
花の旅は、まだつづく
花が旅をして、想いも旅をする。
お花は贈る人、受け取る人の心をやさしく結びつけてくれます。
お花は楽しむ人の心を豊かにしてくれます。
これからも私たちは、さまざまな場所やさまざまな形で、お花と人の出会いをつくっていきます。
お花に込められた物語に、少しでも耳を傾けてもらえたら。
そして、ほんの少しでも「お花っていいな」と感じていただけたら。
それだけで、ロス花たちの旅は価値あるものになったのではと私たちは思います。